2010年9月16日木曜日

日本軍の捕虜政策


内海愛子著 青木書店
2005年4月発行 本体6800円
日清戦争から第二次世界大戦での捕虜の取り扱い、そして敗戦後の戦犯裁判や、捕虜・抑留経験者からの賠償請求まで、日本の捕虜政策の通史を描いた本です。タイトルが「日本軍の捕虜政策」で「日本の捕虜政策」ではないのはなぜなんでしょう、不思議。
日清戦争での清国人捕虜の数があまり多くなかったこと、旅順での虐殺。日露戦争では捕虜の処遇に戦費の3%超が費やされたこと、またこの経費が戦後ロシアに請求されたこと。一般的に捕虜の処遇の費用はその母国に請求されるようになっていたこと。日独戦での捕虜の収容所は、捕虜は儲かる・経済効果を見込んで各地が誘致合戦をしたこと。戊辰戦争で捕虜になった会津藩士の子が徳島収容所の所長だったためか処遇が良かったが、真崎甚三郎が所長だった久留米の収容所はは待遇が悪かったこと。捕虜処遇の経費をドイツに踏み倒されたこと。
日本は1929年のジュネーブ条約に署名したが批准しなかったこと。お互いが宣戦布告をしなかった支那事変では、中国兵は国際法でいう捕虜としては取り扱われ、捕虜として保護されなかったこと。宣戦布告後の中国人捕虜は労工訓練所を通って労務者とされ日本での強制労働へ送られたこと。
連合軍からのジュネーブ条約遵守の要求に、日本は準用すると答えたが、実際には捕虜の権利を尊重しなかったこと。日本陸軍は、軍令下の捕虜と軍政下の捕虜と分けて扱っていたこと。白人捕虜とアジア人捕虜が分けて扱われたこと。その他、アメリカ・イギリス・オランダ・オーストラリア人捕虜の捕虜収容所でのエピソード、などなど、興味深いエピソードがたくさん紹介されていました。読んでいて勉強になる点は多かったし、面白く読めた本です。
ただし、気になる点は誤りが多いこと。メモ取りながら読んだわけではないので、おぼえているモノから例を挙げると

  1. 313ページ 「ゴールデン・ハル」 コーデル・ハルのことですよね。
  2. 425ページ 「鉄道第五連隊(鉄五、三個連隊のみ)」 カッコ内の三個連隊のみってどういうつもりで書いたんでしょう。連隊は大隊からなるから、三個大隊からなっていたと書きたかった??
  3. 487ページ 「イギリス人捕虜が家族に宛てた便り」というキャプションをつけてハガキの裏表が図示されています。読むと、家族から捕虜へ出したハガキとしか思えません。
  4. 605ページ4行目 「認められたことを由としながらも」 このままだと意味が通らない。「良しとしながらも」の誤植?
ほかにもいくつも目につきましたが、私が気付かない誤りもあるだろうと思います。日本国内ではきっと著者の立場に反対の人が少なくないはずで、議論の多いテーマだけにこう誤りが多いと、それを根拠に内容の信憑性に疑いをなげかけられかねないと感じました。

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