2009年1月17日土曜日

ドーピングと処方薬

昨日、下痢と嘔気を主訴にした患者さんを診ました。10代後半の人で周囲に同症状の人はいないとのことでしたので、ウイルス性かどうかは不明ですが、急性胃腸炎といったところでしょうとお話ししました。すると、患者さんの方から、近々スポーツの国際大会に出場するので、ドーピングに抵触しないクスリを処方して欲しいとの要望がありました。ドーピングなんて、自分とは縁のない世界のことかと思っていたので、少しびっくり。

ふだん薬剤を処方する際は、副作用歴、妊娠、授乳中、併用薬、合併症などに注意が必要です。特に妊娠についてはいろいろと問題があるので、妊娠中に処方可能なクスリや禁忌薬をリストした本や冊子が診察室に置かれていることが多いと思います。また、その他の注意事項もクスリの添付文書に記載があります。日本医薬品集という、日本の全処方薬の添付文書を集めた3000ページ近くもある分厚い赤い本が出版されていて、おそらくどこの医療機関にも一冊は置いてあるので、必要な時にはチェックします。

でも、添付文書にもドーピングに関する注意が記載されていたような記憶はありません。一般的な急性胃腸炎はself-limitedな疾患です。脱水などの症状が強ければ補液が必要になりますが、この患者さんは幸いに食事も摂れている状態でしたので、充分な水分摂取を心がけることをお勧めして、ご希望の乳酸菌製剤を処方しました。

帰ってからぐぐってみると、日本アンチ・ドーピング機構というサイトがみつかりました。ここには、世界ドーピング防止規定の2009年禁止表国際基準を日本語訳したものがあって、禁止されている薬剤名が分かりやすくリストされていました。やはり、こういった調べものをするのにインターネットが役立つのを実感。複数の医療機関で仕事をしていますが、診察中にインターネットにつながったパソコンにアクセスできない所では不便を感じます。

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